高齢者の生き方
人生100年時代の今日、私どもはどのような心構えで、生きていったらよいのだろうか?
総務省が11月30日、2020年国勢調査の確定値を公表した。少子高齢化で経済活動の主な担い手となる生産年齢人口(15歳~64歳)は7508万人となり、5年前の前回調査から226万人減少した。
ピークであった1995年の8716万人に比べ約14%少ない。
日本が成長を続け、社会保障制度(医療、年金、介護)を維持していくには、国民一人一人が、健康で、能力を高め社会のために働き続けることが求められる。
定年は自分の人生の始まり
人生は大きく3つに区分される。
①(誕生~成人式)両親・学校に育ててもらう修行の時。②(会社勤務)社会・会社に依存して働く時。そして③(定年後の自分の人生の始まり)依存から自立へと自己改造を試み、自分のやりたいライフワーク(夢、仕事、趣味)を始める生涯現役人生の時に分けられると考える。
人生の大切なキーワード
世間で言われている高齢化に伴う悩みー健康・生計維持・生きがいの3つに対して、大切なキーワードとして健康、家族、経済基盤(勤労)、交友(友達)、好奇心があげられる。
1)健康ー体と心の健康
・規則正しい生活・病気予防
・健康寿命を延ばす―運動・食事・睡眠への気配り
・ニコニコ笑うこと
2)家族(安心・所属欲求)
・絆、助け合い、感謝、思いやり、傾聴・会話、笑顔
・先祖を敬う
・助けあう心に築くよい家庭、神様の栄光あり
3)経済基盤・勤労ー人間の基本的欲求達成のために不可欠
・自立ー生涯現役
・職業の選択ーやりたいこと、やれること、そして、需要があり社会が求めること
・世の中で一番楽しく立派なことは、一生涯貫く仕事を持つということです(福沢心訓)
4)交友ー群れ集うのは3大本能の一つ
・仲間を作り、孤独を回避
・趣味/運動/地域活動の仲間
・ご縁に助けられ、ご縁を大切に生きる
・我以外皆我師ー学ぼうと心がける
・気心の知れた友人がいることは大きな慰み
5)好奇心ー行動の原動力、若さを保つ秘訣
・全ての物事に興味を持ち、考える習慣をつける
・楽しいこと、好きなこと、やりがい探し
・感動することー長寿を呼び、若さを保つ効果があり
・チャレンジ精神とプラス思考で夢・希望を追いかける
・芸術的な体験で右脳を使い、脳の活性化を図る
30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わってきた和田秀樹先生が著書「70歳が老化の分かれ道 若さを持続する人、一気に衰える人の違い」(詩想社新書)にて高齢者の生き方について説明されている。その内容をご紹介するので、参考にしてください。
70代は最後の活動期
現在の70代の日本人は、かつての70代とはまったく違う。格段に若々しく、健康になった70代の10年間は、人生における「最後の活動期」となった。
この時期の過ごし方が、その後、その人がいかに老いていくかを決めるようになったのだ。
70代に努力することで、要介護になる時期をできるだけ遅らせ、晩年も若々しさを保つことができる。
ただ、70代には特有の脆弱さがあることも事実。無自覚に過ごしていれば、自然と老いは加速していく。
そのため、老いを遠ざけようと意図的に生活することが求められる。老いを遅らせる70代の生き方
著者が次のように提案されている:
・何事においても、「引退」などしてはいけない
・働くことは、老化防止の最高の薬
・ダイエットをしてはいけない
・70代になったら、人づき合いを見直そう略歴:
1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって、高齢者医療の現場に携わっている。
引用元:和田秀樹著「70歳が老化の分かれ道 若さを持続する人、一気に衰える人の違い」(詩想社新書)
和田先生の考え方・生き方はなるほどとうなずける内容で、説得力がある。
ぜひ参考にして有意義な人生を元気に過ごしていただきたい。