和田秀樹著「80歳の壁」を読んでの感想

80歳の壁

2022年に入り2月に友人が糖尿病で、そして3月に親友が癌で相次いで亡くなった。二人とも私と同年齢であり、私にとって大きなショックである。

そのうちの一人は、娘が幼稚園児だった時からおよそ50年家族ぐるみのつきあいであった。彼は上場会社の社長として会社経営に成功し、ここ十年近く糖尿病に苦しみ、会社経営を長男にバトンタッチしていた。

日本の高度経済成長期、私ども6家族の仲間は夫婦で金曜日の夜、会社が引けてから彼の家に集まって、家内が主宰するコーラスの練習を行った。

練習もそこそこにして、あとは、各家族が持ち寄った酒と料理を肴に語らったり、ダンスをしたり、カラオケを歌ったりして大いに楽しんだ。今では本当に懐かしい思い出である。

もう一人の親友は小学校の同級生で、現役の開業医として今年まで頑張ってきていた。ゴルフやスポーツジムに通い健康に人一倍気を使っていたので、まさか癌で逝ってしまうとは想像もしなかった。

胆管癌の手術に成功したと思っていたら、既に転移していたため命を落としたと奥さんから聞いた。非常に残念で、心からご冥福を祈る。

80歳の壁を越える最強の方法とは

昨年12月に投稿したブログ「人生を楽しむためのキーワード」にて紹介した和田秀樹著「70歳が老化の別れ道」で、

  • 何事においても、「引退」などしてはいけない
  • 働くことは、老化防止の最高の薬
  • ダイエットをしてはいけない

と前向きに生きていくことの大切さが勧められていた。

私は上記の友の死で一時落ちこんでいたが、今年3月に和田先生の最新作「80歳の壁」(幻冬舎新書)が発売されたことを知り、参考にしようと早速購入し読んだ。

30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わってきた先生は、80歳の壁は高く厚いが、壁を超える最強の方法があると次のように提案している:

  • 食べたいものを食べる
  • 血圧・血糖値は下げなくてよい
  • 癌は切らない
  • おむつを味方にする
  • ボケることは怖くない
  • 運動はほどほどに。散歩が一番
  • 認知症になっても生きる力と知恵は最後まで残る

などなど、要するに、老いを受け入れ、出来ることを大事にするということだ。

特に関心のある癌については、85歳を過ぎた方の遺体を解剖すると、ほとんどの人の体に癌が見つかる。

ここから導かれる選択は、80歳を過ぎたら我慢をしない。好きなことをして気楽に生きる生活の方が、免疫力が高まり、癌の進行を遅くする。癌と一緒に臓器の一部を切り取られると不調や寿命を縮める原因になりかねない。

体力や機能が奪われてしまうと、免疫力や抵抗力が落ちて、ほかの癌の進行を早め、体のあちこちに癌の症状を出現させることになりかねないとのことだ。

闘病ではなく共病という考え方

先生が勧めるのは闘病ではなく、「共病」という考え方だ。病気を受け入れ、共に生きること。癌を手なずけながら生きていくことだ。

高齢者(先生は幸齢者と言っている)に必要なのは、癌で苦しまぬ方法を共に考えてくれる医師だ。

80歳を過ぎるような幸齢者は、手術の必要がない。

年を取れば取るほど、癌の進行は遅くなり、転移もしにくくなる。何もせず、放っておけばよいというのが先生の考えだ。

癌の治療は体へのダメジが甚大で、体力も大きく落ちる。特に幸齢者は元のような生活ができなくなる確率が高くなる。理由は、年を取っているほど、ほかの臓器にも癌がある可能性があるからだ。

壁を越えたら、人生で一番幸せな20年が待っています!との先生の言葉だ。

私としては、世の中の生活環境及び自分の健康状態をそのまま受け入れて、プラス思考で、常に感謝し、好奇心をもって興味あることに挑戦し続け、与えられた人生を全うしたいと考える。