日本が先進国とは言えない一つの事例として、マイナンバー健康保険証を取り上げ考察する。
政府広報ー健康保険証の運用
政府広報オンラインにて、「マイナンバーカードはすべての人の暮らしを便利にするためのカード」と広報を行い、2021年3月から、健康保険証として使えるようになるとうたっている。
ところが、使えるようにする制度改革が計画よりも遅れている。やっと厚生労働省はシステムの構築を終え、10月20日から運用を始める予定だが、実施は間違いなく延期されるだろう。
医療機関側のシステム対応
一方、医療機関側のシステム対応も進んでいない。カードリーダーの導入など、準備が整った病院や診療所、薬局はたったの5.6%しかない。
これでは大半の医療機関でマイナ保険証は利用できない状態だ。
マイナンバーカードの交付率は現時点で、人口の4割弱にとどまっている(何でまだその程度なのか?)。保険証として登録されたのは交付済みカードの1割しかない。
政府が補助金も用意してシステム対応を呼びかけているにも関わらず、医療機関の動きは鈍い。
何故なら、病院の2割強、診療所の5割強は、国が配布する顔認証付きカードリーダーを申し込んでもいない状況だからだ。
対応を見送っている医療機関からは、「交付率が低いから、マイナ保険証を使いたいという患者ニーズが出てきたら考える」との声が出ているという。
マイナ保険証実施への対応策
出典:マイナポータル
マイナ保険証を実施すると決めたのだから、それに対応するかどうかを病院や薬局の判断に委ねるのではなく、当局(内閣府、総務省、厚生労働省)は医療機関に期限を定めて対応を義務付けるべきだ。
マイナ保険証に期待する効果
マイナ保険証に期待する効果は患者の利便性向上だけではない。服薬履歴などデータを見たうえで診察や処方をすることで、重複処方を防ぐことも期待される。
年々増加している医療費の抑制につながる効果は計り知れない。デジタル技術を使った医療の効率化に協力することは、公的な医療保険から収入を得ている病院や診療所、薬局の責務だ。
また、国民は国が定めたことにはすぐに対応して、国の政策には積極的に従い、協力する義務があると考える。
関係官庁及び国民への要望
国は強制力を発揮してこの問題に対処すべきだ。そしてマイナンバーカードの普及を促進するべきだ。
そもそもマイナンバーカード制度は、政府広報がいうように「すべての人の暮らしを便利にするためのカード」なのだから、もっとスピーディに効率よくシステムを構築し、運用できるように全力で取り組むべきだ。私共各自もその重要性を認識し、すぐ行動しなければならない。
このような常識が通用しないことは国力の低下、民度の低下を意味する。このような状況を放置していると、日本は世界から完全に取り残されてしまう。
現に恐ろしいことが起こっており、誠に残念でならない。